資産推移シミュレーター ユーザーガイド
概要
このアプリケーションは、現在の家計状況とマクロ経済・運用パラメータを入力して、将来の純資産(現金+運用資産−負債)の推移を月次で予測するシミュレーターです。最長50年先までのシミュレーションが可能です。
使い方
- 通貨設定: 使用する通貨とその為替レートを設定します。自動取得または手動入力が可能です。
- 現在の状況: 現在の収入・支出・投資額・資産・負債を入力します。複数通貨対応しています。
- シミュレーションパラメータ: インフレ率や運用利回りなどのパラメータを設定します。
- シミュレーション実行: ボタンをクリックしてシミュレーションを実行します。
- 結果の確認: グラフとサマリーカードで結果を確認します。
- CSVエクスポート: 必要に応じて月次データをCSVでダウンロードします。
通貨設定の入力方法
通貨設定では、シミュレーションで使用する通貨と為替レートを設定します。
為替レート自動取得
「為替レート自動取得」をオンにすると、Frankfurter APIから最新の為替レートを取得します。24時間以内に一度取得すれば、その後はキャッシュされたデータを使用します。
手動設定
各通貨について以下の情報を入力します:
- 通貨コード: USD(米ドル)、EUR(ユーロ)などの国際通貨コード
- 円換算レート: 1単位の外貨が何円に相当するか(例:1ドル=150円)
- 年変化率: 為替レートの年間予想変化率(%)(例:+2%で円安傾向、-1%で円高傾向)
「+ 通貨を追加」ボタンで通貨を追加できます。日本円(JPY)は常に基準通貨として固定されます。
現在の状況の入力方法
現在の家計状況を以下のセクションで入力します:
各セクションの説明
- 月間収入: 毎月の収入を通貨別に入力
- 月間支出: 毎月の支出を通貨別に入力
- 月間投資額: 毎月の投資額を通貨別に入力
- 現金・預貯金残高: 現在の現金・預貯金残高を通貨別に入力
- 運用資産残高: 現在の運用資産残高を通貨別に入力
- 住宅ローン残高: 住宅ローンの残高と金利を通貨別に入力
- その他負債: その他の負債の残高と金利を通貨別に入力
各セクションで「+ 行を追加」ボタンをクリックして複数の通貨を追加できます。
資産・負債カテゴリの関係性
シミュレーター内での各項目の関係性は以下のとおりです:
- 支出と投資の関係: 月間支出には投資額は含まれません。これらは別々に管理されます。
- 資産の区分: 現金・預貯金残高と運用資産残高は別々の資産カテゴリです(一方に他方は含まれません)。
- キャッシュフロー: 収入は現金預金に加算、支出は現金預金から減算、投資は現金預金から運用資産へ移動します。
- 長期的な傾向: 運用資産は複利効果により、長期的には現金預金よりも大きく成長する傾向があります。
シミュレーションでは、現金預金不足時には投資額は自動調整(減額)され、ローン返済は優先的に処理されます。
シミュレーションパラメータの入力方法
シミュレーションの条件を以下のパラメータで設定します:
- 期間(年): シミュレーションを行う期間(1〜50年)
- インフレ率(年率%): 物価上昇率
- 実質給与成長率(年率%): インフレ調整後の賃金上昇率
- 運用利回り(年率%): 運用資産の期待年率リターン
- ローン金利変動(bps): 5年ごとの住宅ローン金利の変動幅
- ローン返済期間(年): 元利均等返済の期間
- 分配再投資: 運用資産の分配金を再投資するかどうか
各パラメータの影響
- インフレ率: 高いほど支出が速く増加します。実質給与成長率と組み合わさり、名目給与成長率を決定します。
- 実質給与成長率: 高いほど収入(と投資額)が速く増加します。インフレ率を上回れば実質的な購買力が向上します。
- 運用利回り: 高いほど運用資産の成長が加速します。長期間のシミュレーションでは、わずかな差が大きな違いを生みます。
- ローン金利変動: プラスだと5年ごとにローン返済額が増加し、マイナスだと減少します。返済中のローンがない場合は影響しません。
- 分配再投資: 「する」だと複利効果が最大化され、「しない」だと年率4%の配当が現金に還元されて流動性が向上します。
これらのパラメータは相互に影響し合います。例えば、インフレ率よりも運用利回りが高ければ運用資産の実質価値は増加しますが、インフレ率の方が高い場合は実質的にマイナス収益となります。
結果の見方
グラフ
グラフには以下の情報が表示されます:
- 純資産: 現金 + 運用資産 - 負債の合計
- 現金: 現金・預貯金残高
- 運用資産: 投資資産の評価額
- 負債: 住宅ローン + その他負債の合計
サマリーカード
サマリーカードには以下の情報が表示されます:
- 最終純資産: シミュレーション期間終了時の純資産額と変化量
- 年平均成長率: 純資産の年平均複利成長率
- 資産ピーク: 純資産がピークとなる時期と金額
- 損益分岐点: 純資産がマイナスからプラスに転じる時期(該当する場合のみ表示)
詳細データテーブル
テーブルには年ごとまたは月ごとの詳細データが表示されます:
- 年次表示: 各年の最終月のデータ
- 月次表示: 全月のデータ
テーブルでは純資産、現金、運用資産、負債の推移を数値で確認できます。
年平均成長率について: 初期純資産がマイナスの場合、複利計算の公式が適用できないため「N/A」と表示されます。代わりに「損益分岐点」が表示されます。
計算ロジックの概要
- すべての通貨は円換算して計算処理されます
- 年率から月率への変換は
(1 + 年率)^(1/12) - 1
の数式で行われます
- ローンは元利均等返済方式で計算されます
- インフレは月次で支出に適用されます
- 名目給与成長率 = (1 + インフレ率) × (1 + 実質給与成長率) - 1 で計算されます
- 為替レートの変動も月次で適用されます
シミュレーションの詳細ロジック
このシミュレーターは以下のロジックで将来の資産推移を計算します:
収入と支出の変化
- 収入は「実質給与成長率」と「インフレ率」を組み合わせた名目成長率で毎月増加します
- 支出はインフレ率に従って毎月増加します
資産の増減
- 毎月の収入と支出の差額を現金に加算します
- 設定した投資額を現金から運用資産へ移動します
- 運用資産は設定した「運用利回り」に従って増加します
- 分配再投資の設定に応じて、利益を再投資するか現金として受け取るか決定されます
負債の処理
- 住宅ローンは元利均等返済方式で計算されます(毎月一定額の返済)
- ローン金利は5年ごとに設定した「ローン金利変動」に応じて変化します
- その他負債は単純に利息が毎月加算される形で計算されます
為替レートの変動
- 各通貨の為替レートは設定した年間変化率(ドリフト)に従って毎月変動します
- すべての資産・負債は基準通貨に換算して合算されます
純資産の計算
純資産 = 現金 + 運用資産 - 住宅ローン - その他負債
よくある質問
Q: 年平均成長率が「N/A」と表示されるのはなぜですか?
A: 初期純資産がマイナスで最終純資産がプラスの場合、複利計算の公式が適用できないため「N/A」と表示されます。このケースでは代わりに「損益分岐点」という指標が表示されます。
Q: 「分配再投資」の設定は何に影響しますか?
A: 「する」に設定すると運用資産の利益が自動的に再投資され複利効果が得られます。「しない」に設定すると年率4%の配当が現金として受け取られます。長期的には「する」の方が資産成長が大きくなる傾向にあります。
Q: シミュレーション結果はどの程度正確ですか?
A: このシミュレーターは仮定に基づく決定論的なモデルで、実際の経済状況とは異なる可能性があります。結果は参考情報として活用ください。
Q: 入力したデータはどこかに保存されますか?
A: いいえ、このアプリケーションは入力されたデータをサーバーに送信したり、外部に保存したりすることはありません。すべての処理はお使いのブラウザ内(クライアントサイド)で完結し、ページを閉じるとデータは消去されます。プライバシーを考慮した設計になっています。
注意: このアプリケーションは投資アドバイスではありません。資産運用は自己責任で行ってください。